ドイツの短い秋を楽しむ
ドイツでは、夏が終わったと思いきや、もうそこには冬が準備を整えて出番を待っています。「えっ、秋はどこ?」といつも思うんですが、四季ならば夏と冬の間にあるはずの秋は、ここではとても短く、いわゆる秋らしい日というのは数えるほどしかないかもしれません。日本ならば、季節の移り変わりやそこにある情緒をたっぷり堪能できるんですが、ここドイツでは残念ながらそうもいきません。季節は一気に変わってしまいます。それでもドイツには「Herbst」があります! ドイツで秋を感じる時、ドイツならではの秋の楽しみ方をご紹介しましょう。
ドイツの秋の風物詩
秋の味覚
秋は何といっても果物が美味しいです。りんご、ブドウ、イチジク、ザクロ、桃など、秋ならではの果物がスーパーや市場に並び始めると、もうあれこれ買わずにはおれません。それから、まさに秋の顔をして店頭に並ぶのが「かぼちゃ」。こちらでは、バターナッツといわれるひょうたんの形をしたベージュ色のかぼちゃをよく見かけますが、その名も「HokkaidoKürbis(北海道かぼちゃ)」という日本人にはとても馴染み深い、オレンジ色でまあるいかぼちゃも手に入ります。それからこの時期の味覚として忘れてはいけないのがキノコ類。新鮮なものが市場に並ぶのを待って、美味しくいただきたいですね。
ザンクト・マルティン
ドイツの秋の風物詩といえば「ザンクト・マルティン(St. Martin)」。聖マルティンの伝説に因んだ、冬の始まりを告げる伝統的なお祭りです。日が沈んで暗くなり始める秋の夕方、子どもたちが手作りのランタンを手に、マルティンの歌を歌いながら市内を行進します。家々を回って、そこで家の人からお菓子などをもらえるのが子どもたちの楽しみの一つです。この時期になると、パン屋さんにはベックマン(Weckmann)と呼ばれる人の形をしたパンが並びます。白いパイプ(これはデコなので食べれません)を加えた甘いミルクパンで、頭から食べようか足から食べようか、いつも迷ってしまう、子どもたちに大人気のパンです。
りすのえさ集め どんぐりや落ち葉拾い
ドイツに来て嬉しかったことの一つ。公園などでリスを時々見かけることです。もちろん大きな街に住んでいるのか、田舎に住んでいるのかによっても違いますが、案外普通にリスが木を登ったり下りたりして遊んでいるのを見ることができます。秋になると、リスたちはもうすぐそこまで来ている冬支度を始めるので、木の実を探すのに忙しそうな(もしかしたらのんびりくつろいでいるだけかもしれませんが)リスの姿を公園などでよく見かけます。大きくてふさふさしたトレードマークのしっぽが目立つので、目の端にそれがチラっと見えたら、思わず足を止めてしまいます。
学校の秋休み
日本の学校にはなくてドイツの学校にあるもの。それは「秋休み」です。ドイツの学校は、日本のように4月ではなく、夏休み明けの秋に新学期を迎え、州によって異なりますが大抵は10月頃に2週間ほどの秋休みがあります。慌ただしくスタートした新学期がここでちょっと一休み。日本のゴールデン・ウィークのようなものでしょうか。休みの間は(これまた日本と違い)宿題が普通はないので、子どもたちは羽を伸ばし放題。パパやママもそれに合わせて休暇を取る家族が多く、短い秋を思う存分楽しみます。
渡り鳥
夏が終わって秋風が吹く季節がやってくると、渡り鳥が飛んでいくのをよく目にします。冬の厳しい寒さを逃れ、エサを得るために南に向かう鳥たち。1日が終わって、家路に急ぐ途中で空をふと見上げ、渡り鳥の集団を見かけると、ふとため息をついてしまうのは私だけでしょうか。にぎやかな夏の夕暮れとはまったく違う秋の夕暮れです。
日が短くなる
当然ながら、冬が近づくにつれて日が短くなります。ドイツでは夏場は夜11時近くまで薄っすらと明るいぐらい日が長く、冬には日本と同じように夕方5時くらいには暗くなります。夏と冬の差が激しい分、日が短くなっていくのが日ごとにしっかり実感できるほどです。これに加えて、ドイツの秋~冬は残念ながらどんより曇った天気が続きやすい季節なので、朝から晩まで、一度もお日様の顔を見ないという日も珍しくありません。これは本当に不健康。気分も落ち込みやすくなりがちです。それに洗濯物も乾かない等の実害も。
合言葉は「gemütlich」「kuschelig」
というわけで、この憂鬱な季節を何とか乗り切るために人は知恵を絞ります。外が暗くて寒いなら、お家の中で過ごす時間が断然長くなるのがこの季節。心地よくて(gemütlich)ポカポカと暖かく、家族で寄り添いながら(kuschelig)過ごすお家時間が楽しみな季節なのです。お誕生日など特別な日でなくてもロウソクに火を灯し、暖かな毛布にくるまってお気に入りのホットドリンク飲むひととき。秋の夜長を快適に過ごす方法をドイツ人はよく知っています。
クリスマスの準備を始める
そして、この時期になるとドイツ人がいそいそと心待ちにし、気の早い人なら準備を始めるのがクリスマス。本格的にクリスマスシーズンを迎えるのは最初のアドヴェント(Advent)を迎える週末ですが、店頭にはクリスマスのデコレーションやクリスマスのお菓子やチョコレートが早々と並び始めます。「まだ10月なのに早すぎる!」なんてブツブツいう人もいますが、まんざらでもない表情を浮かべている人もたくさんいます。 クリスマスにはまだちょっと早いけれど、この時期から少しずつ準備を始めると後で慌てなくていいのが「アドヴェンツカレンダー(Adventskalender)」。12月1日からクリスマスイブを迎える24日までの24日間、イブの日を心待ちにしながら一日ずつ扉を開けていくカレンダーは、もちろんお店でも買えますが、子どものいる家庭や手作り派なら、毎年いろいろアイデアを出して作ります。24までの数字の下に何が隠されているかはお楽しみ。お菓子やちょっとしたプレゼントなど、それを開ける人のことを思い浮かべながら作るのは、この時期のお楽しみです。
夏時間が終わり冬時間へ
10月最後の週末、土曜日から日曜日に日が変わる真夜中に夏時間が終わります。夜中の3時になったら1時間、時計の針を戻します。なのでその日曜日は、いつもより1時間長くベッドにもぐっていられますよ。冬時間が始まると、日本とドイツの時差は7時間(日本の方が早い)になります。2019年は10月27日の日曜日から冬時間がスタート。家中の時計の針を1時間戻すことを忘れないようにしましょう。
ステップインのスタッフに聞きました。 「秋を感じるのはどんな時?」
ドイツ人はどちらかというと夏が好きな人が多いように思いますが、実は秋好きもたくさんいます。ステップインのドイツ人スタッフに、どんな時に「ああ、秋だなあ」としみじみ思うか聞いてみました。いろいろな回答が出てきましたよ。
「ライン川沿いを車で走っていて、並木が少しずつ紅葉しているのを見ると秋だなあと思います。」
「子どもたちがザンクト・マルティンのお祭りで使うランタンを、学校の工作の時間に色画用紙などを使って作る時期になると、秋が来たなあと思いますね。」
「秋になると、クリの実拾いをするのが楽しみです。ドングリやクルミなどの木の実を拾い集めて、動物公園などに持っていって動物にあげたりします。ボンでは、集めたクリの実とハリボ(グミ)を交換してくれる行事があるので、子どもたちは喜んで集めていますよ。」
「ホットチョコレートやホットカカオを飲むとき。」
「秋にはあちこちでワインのお祭りが開催されます。ワインの産地であるモーゼル地方は特に有名です。初秋のほんの一時期だけ飲むことができるFederweißerも季節限定なのでぜひ飲んでみてほしいです。」
「道端や公園にこんもりと溜まった落ち葉の中を、わざと入っていってサクサクした感触を楽しみながら遊ぶ子どもたちをよく見かけます。私は落ち葉がたまっているのを見ると、大人になった今でも、時々それがやりたくなっちゃいます。」
「雨、暗い、寒い、クリスマスまではまだまだ。秋なんて大嫌い。」(こんな人ももちろんいます)
「秋が来て涼しくなると、部屋の模様替えをします。家で過ごす時間が長くなるので、暖かなクッションを置いたり、ロウソクを飾ったりして“gemütlich”な時が過ごせるようにします。モコモコのセーターや靴下も欠かせません。」
「帽子をかぶって長靴をはいて、頭から足の先までしっかり防寒して、森の中を散歩するのはとても気持ちがいいです。キノコ狩りも楽しいです。」
スタッフのいろいろな「秋」を聞いているうちに、ドイツの秋もまんざら捨てたものじゃないなあと思えてきました。この記事を書いている今、窓の外に見えるのは、今にも雨が降り出しそうなどんより曇った空。今日も一日、お日様の顔を見ずに終わりそうですが、こんな日は何か温かいものでも飲んで、のんびり仕事しましょう。
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