市民文化センターで習い事
ドイツに来たら、まずはドイツ語の習得が何より大切ですが、少し言葉が分かってきて現地での生活のリズムがつかめてきたら、もっとドイツ人社会に入っていって、いろいろアンテナを伸ばしてドイツでの暮らしをさらに充実させたいと思い始める人も多いことでしょう。フォルクスホッホシューレ(Volkshochschule: VHS)は、ドイツの街なら大抵どこにでもある市民のための文化センターです。芸術文化全般、スポーツ、料理、外国語など、多岐にわたって講座やセミナーが開催され、基本的に誰にでも門戸が開かれています。もちろん外国人でも大丈夫です。語学学校に通ったり、ワーキングホリデーや研究留学をしつつ、空いた時間に気軽に参加できるのも魅力です。ドイツ人と一緒に趣味の範囲で楽しく学べるVHS。どんな講座が開催されているのか、開催時期や申込方法などをご案内します。興味が湧いたら、ぜひお住まいの街のVHSの門をたたいてみてください。
ドイツでは州によって異なるものの、大抵は8月半ば~後半頃で夏休みはおしまい。長い休暇を取っていた人たちが帰ってくると、街はまたいつもの賑わいを取り戻します。9月からは新学期がスタート。ピカピカの小学1年生が、大きなランドセルを背負って学校に通う姿があちらこちらで見られるこの季節は、何か新しいことを始めるにはぴったりです。VHSの講座は通常、半年のセメスターごとに開催され、9月と2月頃の年2回が各セメスターの開始シーズンです。なので講座に参加したい場合は、この時期を逃さずに申込みをする必要があります。
VHSではどの街でも大体似たような講座が開かれています。試しに、ステップインのオフィスがあるボン市のVHSでは、今年(2019年)9月からの冬セメスターでどんな講座が開かれるのか、ホームページをチェックしてみました。おもしろそうな講座がたくさん見つかりましたよ!
開催講座いろいろ
音楽系
ドイツは音楽留学をしたいと思っている人に人気がある国の一つですが、大学や専門学校などで学ぶほど本格的ではなくても、もうちょっと気軽に趣味として楽器を学んでみたいと思っている人は少なくないのではないでしょうか。ボンでは今回、ギターとウクレレの入門コースが予定されていました。また楽器ではないですが、コーラスもドイツ人には人気が高く、「みんなで一緒に楽しく歌おう」をモットーにいつも多くのコースが開催されます。
芸術アート系
この分野は多岐にわたって数多くのコースが開催されており、どれもやってみたいコースばかりです。イラスト、水彩画や油絵、カリグラフィー、ガラス工芸、真鍮、写真、金細工、陶芸、演劇……、入門~上級者コースまで幅広く開催されています。中でも水彩画やアクリル画、油絵コースは人気が高いようで、この分野だけでもボンでは40近いコースが設けられています。
また、目を引いたのは書道の講座。地元在住の日本人の先生が講座を担当していて、人気が高いようです(キャンセル待ち!)。それからドイツでは、日本のように学校の家庭科の授業で裁縫を習うことが通常はないので、VHSなどのクラスで裁縫を習う人も多いよう。結構定員が埋まっているみたいです。
スポーツ
運動好き、体にいいこと好きな人には断然おすすめしたいのがスポーツ系。人気どころでは、ヨガやピラテス、アクアフィットネス、ダンス、太極拳などがあります。比較的長身のドイツ人は、背中や腰に問題を抱えている人が少なくないので、そのための予防ストレッチのコースなどもリピーターが多そうです。リラクゼーションのためのコースもいろいろあって、ストレスを溜めがちなドイツ人には人気が高いです(笑)。
ちなみに、リラクゼーションと書きましたが、講座では先生は当然ながらドイツ語で話すので、ドイツ語をある程度聞き慣れていないと先生が言っていることを理解するのに神経を集中させなくてはならず、リラックスどころか、かえって肩がこってしまうことがあります。私は現在、ヨガのコースを受講していますが、初めた当初は、左なのか右なのか、足首、太もも、肘、肩甲骨、横になって、上を向いて、息を吸って、吐いて……、先生が言っていることがすぐに分からなくて大変でした。気づいたら、私一人だけがみんなと違うポーズを取っていたなんてこともしばしば。そっと隣の人を盗み見しながら、ポーズを直したりもしていました。でもおかげで、体の部位に関するドイツ語のボキャブラリーがぐんと増えました(笑)。
語学
文化系講座と並んで人気が高いのが語学講座。英語はもちろんのこと、フランス語やスペイン語、イタリア語などのヨーロッパ各国の言語は、旅行好きで知られるドイツ人のこと、学ぶだけではなくて実際に使うチャンスが結構あるので、どのコースも定員がすぐに埋まってしまうぐらい人気が高いです。数えてみたら、ボンでは30カ国ほどの言語が学べるみたいです!その中には日本語コースもありますよ。人気のほどはいかに?
外国人のためのドイツ語
外国語としてのドイツ語を学ぶコースも数多く開催されています。ドイツ語レベルはA1からあり、特定の試験の合格を目指すコースやビジネスドイツ語を学ぶコースなどもあります。会話に重点を置いたコースなどもおもしろそうです。またこの分野では、国外からの移民が多いドイツならではですが、移民のためのドイツ語コースも設置されています。
私は以前、会話コースに参加したことがありますが、語学学校とはまた違って受講者は年齢層や職業も様々なので、刺激があって楽しかったです。ドイツ人の先生もとても熱心な方でした。ちなみに、このVHSのドイツ語コースに登録しただけでは、語学学生ビザなどは通常申請できませんので気を付けてください。
料理
ドイツの各地方の郷土料理、カロリー少なめの料理、冬の季節に美味しい鍋料理、お料理ビギナーのためのコース、変わったところでは、仕事で忙しいシングルのビジネスマンのための料理コースなど、定員が集まるのかどうか疑問ではありますがいろいろなコースがあって正直なところびっくりです。(これまでノーチェックでした)ドイツだけでなく各国の料理を学ぶコースもあります。アフリカ、トルコ、インド料理などが人気のようですが、日本料理の代名詞ともいえる「寿司」のコースも大人気。いつもキャンセル待ちの状況のようです。
IT関連、職業訓練
PC全般、Word、Excel、PowerPoint、CAD、Web作成等のオフィス業務で問われる知識の習得から職場でのコミュニケーション能力、ビジネス会話まで多岐にわたって学べます。
街の観光スポットや政治・文化の拠点などを訪ねる
地域に根ざしたプログラムも豊富です。例えばボンならばベートーヴェンの家を訪ねるコース(ボンはベートーヴェンの生まれ故郷です)などがあります。ツアーガイドならぬ専門家の案内で生家を訪ねてみるのもおもしろそうですね。ボンのオーパーを見学するツアーなども、普通は見ることのできない舞台裏を覗くことができるので、音楽ファンには興味深いかもしれません。そのほか、ドイチェ・ポストのお膝元であるボンには、NRW州で最高の162.5メートルの高さを誇るポスト・タワーがありますが、このタワーを巡るツアーなども講座の一つになっていて、以外と人気があるようです。
日帰りツアー
近郊のハーブ園やワイン産地への日帰りツアーなども講座の一環です。たまには、ドイツ人の輪に入って、大人数でバスに乗って、遠足気分で参加してみても楽しそうですね。
VHSよくある疑問
講座の開催情報はどうやって入手するの?
通常は、それぞれの街のVHSのホームページで最新情報を見ることができます。また、新しいセメスターの申込時期が近づくと、市役所など街の公共機関等でパンフレット冊子が無料配布されます。
申込方法と申込時期は?
街によって異なりますが、大抵はホームページからオンラインで申込みができます。申込みは通常、セメスター開始の2か月くらい前から始まります。人気のある講座は申込開始日早々に満員になってしまうことも稀ではなく、キャンセル待ちに回されてしまうこともあるので、お目当ての講座があったら早めに申込むといいでしょう。
講座の開催頻度は?
通常の講座はセメスター中、週に1回の頻度で開催されますが、中には1日のみの特別セミナーという場合もあります。
講座が開催される時間帯は?
昼間、夜間と様々なので、自分に都合のいいコースを探せます。
参加資格や条件はある?
基本的にありません。講座によっては初心者コース、上級者コースと別れている場合があるので、自分に合ったレベルを選びましょう。
受講料はどれぐらい?
講座や開催日数によってもちろん異なりますが、大抵はそれほど参加費は高くありません。例えば、ボンの学校の講座の参加費は次のようになっています。
ヨガのコース(週1回、計15回開催)60ユーロぐらい~
英語コース(週2回、計26回)160ユーロぐらい~
1日セミナー 5ユーロぐらい~(無料講座も多くあります)
コースは必ず開催される?
定員が一定数に満たない場合は、残念ながら開催されない場合があります。
同じ講座に何度も参加してもいいの?
もちろん大丈夫です。前述したヨガのコースに、私はかれこれもう10年近く通っています。人気のあるコースほどリピーターの数も多いようで、毎回同じような顔ぶれが揃うこともよくあります。
途中で解約はできる?
講座が始まってしまったら基本的に途中解約はできず、払った費用は戻りません。講座開始日前ならば、キャンセル返金が可能な場合もあります。
保険プラン(保険料/月)
- 基本プランに含まれています。
オプションプランのうち保険料が別途明記されている保険は、ご希望に応じて補足加入が可能です。各保険の補償内容の詳細は日本語の保険約款でご確認いただけます。
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